スクラップ・アンド・ビルド

羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」を読了。

第153回芥川賞を受賞した作品。

介護問題を扱っている小説で、個人的に身につまされた。

家庭内介護の難しさを赤裸々に書いていて、当事者にとっては胸が痛く、まだ経験したことのない人にとっては登場人物のキツさに驚くかもしれない。

かなり読みやすいので万人にお勧めできる作品。

隻眼の少女

麻耶雄嵩「隻眼の少女」を読了。再読。

本格ミステリ大賞を受賞した麻耶の代表作である。

女性は必ず名前に「菜」がついている琴折家をめぐる殺人事件。

とにかくロジックの密度が尋常でない。

にも関わらず麻耶の初期作品と比べ、明らかに物語としてわかりやすくリーダビリティが高い。

麻耶の作品を初めて読むという人には、この本をお勧めする。

知る人ぞ知る作家だった麻耶が、本書と映像化された「貴族探偵」で人気を博したことはファンとして喜ばしい。

死と砂時計

鳥飼否宇「死と砂時計」を読了。

監獄内で起こる殺人の連作短編集。

本作は第16回本格ミステリ大賞を受賞している。

集中において、本格ミステリ的には「魔王シャヴォ・ドルマヤンの密室」が優れているが、個人的なベストは「監察官ジェマイヤ・カーレッドの韜晦」であった。

トリック自体はありきたりだが、動機が優れ、しみじみとさせられた。

とても渋い短編集であり、本書が本格ミステリ大賞を受賞した事実は、本格ミステリファンとして喜ばしい。

ハサミ男

殊能将之ハサミ男」を読了。10回目くらいの再読。

マイ本格ミステリベスト5に入っている逸品中の逸品。

本作はとやかくトリック部分ばかり着目されがちだが、まずは文章面に注目いただきたい。読むたびにその文章の読みやすさ・面白さに感服する。殊能の文章は日本語の運用として、最高レベルに達している。

また何度読んでも、8つの順列組み合わせの場面は爆笑してしまう。

ラストの幕引きもパーフェクトであり、著者の早逝が惜しまれる。

 

意識のリボン

綿矢りさ「意識のリボン」を読了。

短編集だが、恋愛物がほとんどないことに安心した。(長編は恋愛物ばかりなので)

個人的な集中のベストは「岩盤浴にて」で、心理描写の細やかさに感心した。

「履歴の無い妹」も変わった恋愛物で面白かった。

これで現時点での綿矢作品はコンプリートしたが、綿矢の最高傑作は「夢を与える」である(異論は認めない)。

天城一の密室犯罪学教程

天城一天城一の密室犯罪学教程」を読了。

密室の短編集プラス密室に関する評論集。

短編にしてもかなり枚数の少ない作品が多い中、文字通り密室のオンパレードであり、密室ファンにはこたえられない内容であろう。

個人的な好みでは「星の時間の殺人」を挙げるが、トリックの独自性や破壊力では間違いなく「高天原の犯罪」が挙げられるだろう。

他にも「明日のための犯罪」が印象的だった。