意識のリボン

綿矢りさ「意識のリボン」を読了。 短編集だが、恋愛物がほとんどないことに安心した。(長編は恋愛物ばかりなので) 個人的な集中のベストは「岩盤浴にて」で、心理描写の細やかさに感心した。 「履歴の無い妹」も変わった恋愛物で面白かった。 これで現時…

天城一の密室犯罪学教程

天城一「天城一の密室犯罪学教程」を読了。 密室の短編集プラス密室に関する評論集。 短編にしてもかなり枚数の少ない作品が多い中、文字通り密室のオンパレードであり、密室ファンにはこたえられない内容であろう。 個人的な好みでは「星の時間の殺人」を挙…

手のひらの京

綿矢りさ「手のひらの京」を読了。 またまたまたまた恋愛物。 綿矢は器用な作家なので、本書も充分面白いし、水準以上の作品ではある。 ただ綿矢の作品における恋愛物の比率は異常な気がする。 綿矢本人をテレビで見たことがあるが、確かに男にモテるのだろ…

図書館の殺人

青崎有吾「図書館の殺人」を読了。再読。 本書は青崎の最高傑作であり、私の本格ミステリベスト10にも入っている。 青崎はデビュー作「体育館の殺人」から、その作風の論理性には定評があり、平成のクイーンと評されたりもした。 ただ結末の意外性には欠けて…

収穫祭

西澤保彦「収穫祭」を読了。 エログロの極みというべき本格ミステリ。 その過剰さにおいて西澤の代表作の一つになるだろう。 被害者数の数も半端なく、コズミックとタメを張れるくらい。

硝子のハンマー

貴志祐介「硝子のハンマー」を読了。 密室ミステリの大傑作。 もはや新しいトリックはないと思われていた密室物の新機軸。 前半は普通にストーリーが進むが後半は倒叙物になり、物語が有機的に結合する。 トリックなどの説明が詳細で、相当な取材・下調べを…

リング

鈴木光司「リング」を読了。再読。 ホラーの金字塔作品であり、読書家なら知らない人の方が珍しいだろう。 体裁はホラーだが、主人公が手掛かりを元に真相に迫っていく手つきは完全にミステリのそれであり、ラストにも本格ミステリ顔負けのどんでん返しが待…

毒猿

大沢在昌「毒猿」を読了。 言わずと知れた新宿鮫シリーズの第2作目。 ハードボイルドの一級品であることは間違いない。 警察の内情が詳しく描写されたり、やたら隠語が出てくるのが面白かった。 新宿鮫シリーズより馳星周の不夜城シリーズを先に読んでいたた…

私をくいとめて

綿矢りさ「私をくいとめて」を読了。 またもや恋愛ものだが普通に面白い。 途中でイタリア旅行のエピソードが入り、物語のテイストが変わる。 もしかしたら、編集者が綿矢に恋愛もののリクエストばかりしているのかもしれないが、そうだとしたらなかなかサラ…

涙香迷宮

竹本健治「涙香迷宮」を読了。 暗号ミステリの究極の作品。 詰連珠の素養があった方が楽しめる部分があったので、自分にそちら方面の知識があればよかった。 作中の二つのいろはは暗号として技術的に傑出している。 横溝正史「獄門島」とともに末永く暗号ミ…

薔薇の女

笠井潔「薔薇の女」を読了。再読。 笠井の作品としてはかなり読みやすい方。 「哲学者の密室」みたいな難解な小説ではない。 ただ、矢吹駆シリーズでは必ずといっていいほど、前の作品のネタバレをしているので、順番に読むことをオススメする。

身代わり

西澤保彦「身代わり」を読了。 疑いなく西澤の代表作に数えられる傑作。 殺人の動機はかなりエグい。 間違いなく被害者は浮かばれない。 P252の2行目で思わず笑ってしまった。 本作では鯉登というミステリアスな少女が出てきて、殊能将之「ハサミ男」を連想…

大地のゲーム

綿矢りさ「大地のゲーム」を読了。 綿矢にしては珍しいSF物というか異世界物。 物語の展開とか会話の意味不明さはなかなかのもので、「なかよくしようか」の系列かもしれない。 本作は村上龍のSF物の影響を受けているものと思われる。

犬神家の一族

横溝正史「犬神家の一族」を読了。 横溝の代表作の中の一つであり、大トリックが仕掛けられている。 作中では、映画でも有名なホラー的なシーンもあるのだが、横溝はカラッとした筆致で描いている(乱歩だったらドロッとした書き方をしたと予想される)。 本…

しょうがの味は暑い

綿矢りさ「しょうがの味は暑い」を読了。 さすがにこのタイトルはいかがなものかと思われた。 綿矢のお得意とする恋愛物。 ですます調の文体が心地良い。 2つの中編が連続物なのにはびっくり。

夏と冬の奏鳴曲

麻耶雄嵩「夏と冬の奏鳴曲」を読了。再読。 麻耶の最長長編にして最高傑作である。 今まで何千冊ものミステリを読了してきたが、その中でも5本の指に入る逸品。 本格ミステリの愛読者なら、麻耶がこの作品を刊行した年齢が24歳という事実に打ち震えるであろ…

罪の名前

木原音瀬「罪の名前」を読了。 ホラー短編集だが、収録作の中では圧倒的に「罪と罰」が面白い。 サイコパス物だが、最初から最後までパーフェクトな作品。 ドストエフスキーの著作名を冠するだけのことはある。 この一編はもう少し話題になってもいいのでは…

ひらいて

綿矢りさ「ひらいて」を読了。 綿矢の作品は大雑把に分類すると、恋愛ものとホラー風味の純文学に大別されると思っている。 この作品は前半が恋愛もので、後半がホラー風味な感じ。 綿矢の本領はホラー風味の純文と思っているので、当然ながら後半の方が楽し…

11枚のトランプ

泡坂妻夫「11枚のトランプ」を読了。 奇術をネタとした本格ミステリ。 元々、奇術と本格ミステリの親和性は高いが、本作は両者を見事に融合させている。

かわいそうだね?

綿矢りさ「かわいそうだね?」を読了。 表題作は三角関係物で、相変わらず心情描写が上手い。 個人的には「亜美ちゃんは美人」の方に感銘を受けた。「さかきちゃん」の視点で物語が進んでいるが、どう見ても綿矢は「亜美ちゃん」のポジションである。つまり…

解体諸因

西澤保彦「解体諸因」を読了。 論理的かつ初期設定の破天荒さで有名な西澤のデビュー作である。 処女作だけのことはあり、トリックおよびロジックの濃厚さは比類ない。 本格ミステリ的にとりわけ第一因「解体迅速」は完成度が高い。 個人的にツボなのは第五…

勝手にふるえてろ

綿矢りさ「勝手にふるえてろ」を読了。 表題作は中学の同級生と会社の同期をめぐる恋愛物。 綿矢は決してこのような小説を書きたくて書いているわけではないと思うが、主人公の女性の繊細な内面をうまく描けている。 「仲良くしようか」は意味不明な小説で、…

黒龍荘の惨劇

岡田秀文「黒龍荘の惨劇」を読了。 明治時代を舞台にした、首切り大量殺人物。 解説で法月綸太郎も述べている通り、この時代でしか通用しない大トリックが仕組まれている。 それにしてもこの手の推理小説を読むたびに思うだが、大量殺人が起こったにも関わら…

ウォーク・イン・クローゼット

綿矢りさ「ウォーク・イン・クローゼット」を読了。 中編「いなか、の、すとーかー」は綿矢の実体験も織込まわれているように感じた。 表題作はオシャレな恋愛物兼芸能界物。

吸血の家

二階堂黎人「吸血の家」を読了。再読。 二階堂は大長編「人狼城の恐怖」が有名だが、最高傑作は疑いなく「吸血の家」だと思う。 足跡のない殺人物の白眉であり、同ジャンルでこれを超える作品は出てこないものと思われる。

憤死

綿矢りさ「憤死」を読了。 ホラー風味の純文学の短編集。 4つの短編の中では表題作ではなく、「トイレの懺悔室」が最も優れていると感じた。 この人はこの方向性がベストだと思う。

叫びと祈り

梓崎優「叫びと祈り」を読了。 間然する所がない傑作連作短編集。 本格ミステリとしては「砂漠を走る船の道」、物語としては「叫び」が出色の出来栄え。 「叫び」はラストの真相より、途中の仮説の方に説得力があると思った。 歳下にこのような逸品を書かれ…

山の音

川端康成「山の音」を読了。 家庭の内紛を家長の視点から淡々と描いた物語。 おそらくは川端の最高傑作ではあるまいか。 この小説を読んで、映画「ゴッドファーザー2」を連想したのは僕だけではないはずだ。

七十五羽の烏

都筑道夫「七十五羽の烏」を読了。斜め読み。 二人の探偵コンビによる肩透かしを食わさせられる事件。 飄々とした作風である。

星降り山荘の殺人

倉知淳「星降り山荘の殺人」を読了。再読。 倉知の代表作であり、発表当時話題となった。 メイントリックばかり喧伝されるが、細部も実によく練られており、感心した。