身代わり

西澤保彦「身代わり」を読了。 疑いなく西澤の代表作に数えられる傑作。 殺人の動機はかなりエグい。 間違いなく被害者は浮かばれない。 P252の2行目で思わず笑ってしまった。 本作では鯉登というミステリアスな少女が出てきて、殊能将之「ハサミ男」を連想…

大地のゲーム

綿矢りさ「大地のゲーム」を読了。 綿矢にしては珍しいSF物というか異世界物。 物語の展開とか会話の意味不明さはなかなかのもので、「なかよくしようか」の系列かもしれない。 本作は村上龍のSF物の影響を受けているものと思われる。

犬神家の一族

横溝正史「犬神家の一族」を読了。 横溝の代表作の中の一つであり、大トリックが仕掛けられている。 作中では、映画でも有名なホラー的なシーンもあるのだが、横溝はカラッとした筆致で描いている(乱歩だったらドロッとした書き方をしたと予想される)。 本…

しょうがの味は暑い

綿矢りさ「しょうがの味は暑い」を読了。 さすがにこのタイトルはいかがなものかと思われた。 綿矢のお得意とする恋愛物。 ですます調の文体が心地良い。 2つの中編が連続物なのにはびっくり。

夏と冬の奏鳴曲

麻耶雄嵩「夏と冬の奏鳴曲」を読了。再読。 麻耶の最長長編にして最高傑作である。 今まで何千冊ものミステリを読了してきたが、その中でも5本の指に入る逸品。 本格ミステリの愛読者なら、麻耶がこの作品を刊行した年齢が24歳という事実に打ち震えるであろ…

罪の名前

木原音瀬「罪の名前」を読了。 ホラー短編集だが、収録作の中では圧倒的に「罪と罰」が面白い。 サイコパス物だが、最初から最後までパーフェクトな作品。 ドストエフスキーの著作名を冠するだけのことはある。 この一編はもう少し話題になってもいいのでは…

ひらいて

綿矢りさ「ひらいて」を読了。 綿矢の作品は大雑把に分類すると、恋愛ものとホラー風味の純文学に大別されると思っている。 この作品は前半が恋愛もので、後半がホラー風味な感じ。 綿矢の本領はホラー風味の純文と思っているので、当然ながら後半の方が楽し…

11枚のトランプ

泡坂妻夫「11枚のトランプ」を読了。 奇術をネタとした本格ミステリ。 元々、奇術と本格ミステリの親和性は高いが、本作は両者を見事に融合させている。

かわいそうだね?

綿矢りさ「かわいそうだね?」を読了。 表題作は三角関係物で、相変わらず心情描写が上手い。 個人的には「亜美ちゃんは美人」の方に感銘を受けた。「さかきちゃん」の視点で物語が進んでいるが、どう見ても綿矢は「亜美ちゃん」のポジションである。つまり…

解体諸因

西澤保彦「解体諸因」を読了。 論理的かつ初期設定の破天荒さで有名な西澤のデビュー作である。 処女作だけのことはあり、トリックおよびロジックの濃厚さは比類ない。 本格ミステリ的にとりわけ第一因「解体迅速」は完成度が高い。 個人的にツボなのは第五…

勝手にふるえてろ

綿矢りさ「勝手にふるえてろ」を読了。 表題作は中学の同級生と会社の同期をめぐる恋愛物。 綿矢は決してこのような小説を書きたくて書いているわけではないと思うが、主人公の女性の繊細な内面をうまく描けている。 「仲良くしようか」は意味不明な小説で、…

黒龍荘の惨劇

岡田秀文「黒龍荘の惨劇」を読了。 明治時代を舞台にした、首切り大量殺人物。 解説で法月綸太郎も述べている通り、この時代でしか通用しない大トリックが仕組まれている。 それにしてもこの手の推理小説を読むたびに思うだが、大量殺人が起こったにも関わら…

ウォーク・イン・クローゼット

綿矢りさ「ウォーク・イン・クローゼット」を読了。 中編「いなか、の、すとーかー」は綿矢の実体験も織込まわれているように感じた。 表題作はオシャレな恋愛物兼芸能界物。

吸血の家

二階堂黎人「吸血の家」を読了。再読。 二階堂は大長編「人狼城の恐怖」が有名だが、最高傑作は疑いなく「吸血の家」だと思う。 足跡のない殺人物の白眉であり、同ジャンルでこれを超える作品は出てこないものと思われる。

憤死

綿矢りさ「憤死」を読了。 ホラー風味の純文学の短編集。 4つの短編の中では表題作ではなく、「トイレの懺悔室」が最も優れていると感じた。 この人はこの方向性がベストだと思う。

叫びと祈り

梓崎優「叫びと祈り」を読了。 間然する所がない傑作連作短編集。 本格ミステリとしては「砂漠を走る船の道」、物語としては「叫び」が出色の出来栄え。 「叫び」はラストの真相より、途中の仮説の方に説得力があると思った。 歳下にこのような逸品を書かれ…

山の音

川端康成「山の音」を読了。 家庭の内紛を家長の視点から淡々と描いた物語。 おそらくは川端の最高傑作ではあるまいか。 この小説を読んで、映画「ゴッドファーザー2」を連想したのは僕だけではないはずだ。

七十五羽の烏

都筑道夫「七十五羽の烏」を読了。斜め読み。 二人の探偵コンビによる肩透かしを食わさせられる事件。 飄々とした作風である。

星降り山荘の殺人

倉知淳「星降り山荘の殺人」を読了。再読。 倉知の代表作であり、発表当時話題となった。 メイントリックばかり喧伝されるが、細部も実によく練られており、感心した。

屍人荘の殺人

今村昌弘「屍人荘の殺人」を読了。 各種ランキングを総なめにしている話題作。 ホラーとミステリの完璧な融合で、非の打ち所がない傑作。 特殊な世界設定をしつつも、謎解きはストレートというのは、読む方にとっても意外と咀嚼がしやすい。

眠れる美女

川端康成の眠れる美女を読了。 これはかなりの異色作。 特に表題作のインパクトは凄まじい。 筆力とはこういうことを指すのだ。

密室殺人ゲーム・マニアックス

歌野晶午「密室殺人ゲーム・マニアックス」を読了。 密室殺人ゲームシリーズ第3作であるが、このシリーズはどれも本当に面白い。 歌野はデビュー作から知っていたが、このシリーズを見逃していたのは悔やまれる。 「葉桜の季節に君を想うということ」にも言…

誰彼

法月綸太郎「誰彼」を読了。再読。 この作品はパズラーの中のパズラーという感じ。 複雑すぎて法月作者本人すら同じようなものは書けない、と巻末に記している。 若干24歳でこの作品を書き上げた法月は、この時点で新本格の第一人者としての地位を確かなも…

古都

川端康成「古都」を読了。 執筆時に若干睡眠薬の影響を受けていたらしく、酩酊感のある場面も多い。 ただし、川端の本なので三島や谷崎の著書と比較すれば、明らかに読みやすく大衆的である。 川端の著作は夏目漱石のそれより普遍性が高いような気がするので…

マークスの山

高村薫「マークスの山」を読了。 警察小説の白眉。 重厚な小説だが、高村作品の中では読みやすい部類ではないだろうか。 故殊能将之の「ハサミ男」は明らかにこの作品の影響を受けていると思われる。

ゼロの焦点

松本清張のゼロの焦点を読了。 社会派推理小説の傑作である。 人間がよく描かれている、というのはこういう小説のことを指すのだろう。 一時期、新本格ミステリが人間が描かれていないと批判されていたことがあるが、松本の小説と比較されてしまうと、その気…

麻耶雄嵩「螢」を読了。再読。 麻耶の作品はいつもエッジが利いていているが、その中でも極北に近いもの。 この作品のメイントリックは悪魔的で、前例がないとかそういうレベルではない。 真相は結構複雑で、作品の解説みたいなホームページを見てやっと全貌…

コンビニ人間

村田沙耶香「コンビニ人間」を読了。 芥川賞を受賞した作品。 コンビニ勤めしかできない主人公の淡々とした描写が続く。 ただ、1箇所、妹の赤ん坊に対する記述で凄まじい表現があった。 この部分だけでも充分元が取れた感じ。 かなり読みやすいので、純文学…

密室殺人ゲーム2.0

歌野晶午「密室殺人ゲーム2.0」を読了。 前作よりさらにトリックの破壊力が増し、インモラル加減が増し、ラストの意外性もましている。 本格ミステリ大賞を受賞したのも納得の出来栄え。 歌野は小説部門で本格ミステリ大賞を2度受賞した唯一の人物であり、…

生首に聞いてみろ

法月綸太郎「生首に聞いてみろ」を読了。再読。 本格ミステリ大賞も受賞した作品で、練度の高いミステリ。 後半の展開はかなりエグい。