憤死

綿矢りさ「憤死」を読了。 ホラー風味の純文学の短編集。 4つの短編の中では表題作ではなく、「トイレの懺悔室」が最も優れていると感じた。 この人はこの方向性がベストだと思う。

叫びと祈り

梓崎優「叫びと祈り」を読了。 間然する所がない傑作連作短編集。 本格ミステリとしては「砂漠を走る船の道」、物語としては「叫び」が出色の出来栄え。 「叫び」はラストの真相より、途中の仮説の方に説得力があると思った。 歳下にこのような逸品を書かれ…

山の音

川端康成「山の音」を読了。 家庭の内紛を家長の視点から淡々と描いた物語。 おそらくは川端の最高傑作ではあるまいか。 この小説を読んで、映画「ゴッドファーザー2」を連想したのは僕だけではないはずだ。

七十五羽の烏

都筑道夫「七十五羽の烏」を読了。斜め読み。 二人の探偵コンビによる肩透かしを食わさせられる事件。 飄々とした作風である。

星降り山荘の殺人

倉知淳「星降り山荘の殺人」を読了。再読。 倉知の代表作であり、発表当時話題となった。 メイントリックばかり喧伝されるが、細部も実によく練られており、感心した。

屍人荘の殺人

今村昌弘「屍人荘の殺人」を読了。 各種ランキングを総なめにしている話題作。 ホラーとミステリの完璧な融合で、非の打ち所がない傑作。 特殊な世界設定をしつつも、謎解きはストレートというのは、読む方にとっても意外と咀嚼がしやすい。

眠れる美女

川端康成の眠れる美女を読了。 これはかなりの異色作。 特に表題作のインパクトは凄まじい。 筆力とはこういうことを指すのだ。

密室殺人ゲーム・マニアックス

歌野晶午「密室殺人ゲーム・マニアックス」を読了。 密室殺人ゲームシリーズ第3作であるが、このシリーズはどれも本当に面白い。 歌野はデビュー作から知っていたが、このシリーズを見逃していたのは悔やまれる。 「葉桜の季節に君を想うということ」にも言…

誰彼

法月綸太郎「誰彼」を読了。再読。 この作品はパズラーの中のパズラーという感じ。 複雑すぎて法月作者本人すら同じようなものは書けない、と巻末に記している。 若干24歳でこの作品を書き上げた法月は、この時点で新本格の第一人者としての地位を確かなも…

古都

川端康成「古都」を読了。 執筆時に若干睡眠薬の影響を受けていたらしく、酩酊感のある場面も多い。 ただし、川端の本なので三島や谷崎の著書と比較すれば、明らかに読みやすく大衆的である。 川端の著作は夏目漱石のそれより普遍性が高いような気がするので…

マークスの山

高村薫「マークスの山」を読了。 警察小説の白眉。 重厚な小説だが、高村作品の中では読みやすい部類ではないだろうか。 故殊能将之の「ハサミ男」は明らかにこの作品の影響を受けていると思われる。

ゼロの焦点

松本清張のゼロの焦点を読了。 社会派推理小説の傑作である。 人間がよく描かれている、というのはこういう小説のことを指すのだろう。 一時期、新本格ミステリが人間が描かれていないと批判されていたことがあるが、松本の小説と比較されてしまうと、その気…

麻耶雄嵩「螢」を読了。再読。 麻耶の作品はいつもエッジが利いていているが、その中でも極北に近いもの。 この作品のメイントリックは悪魔的で、前例がないとかそういうレベルではない。 真相は結構複雑で、作品の解説みたいなホームページを見てやっと全貌…

コンビニ人間

村田沙耶香「コンビニ人間」を読了。 芥川賞を受賞した作品。 コンビニ勤めしかできない主人公の淡々とした描写が続く。 ただ、1箇所、妹の赤ん坊に対する記述で凄まじい表現があった。 この部分だけでも充分元が取れた感じ。 かなり読みやすいので、純文学…

密室殺人ゲーム2.0

歌野晶午「密室殺人ゲーム2.0」を読了。 前作よりさらにトリックの破壊力が増し、インモラル加減が増し、ラストの意外性もましている。 本格ミステリ大賞を受賞したのも納得の出来栄え。 歌野は小説部門で本格ミステリ大賞を2度受賞した唯一の人物であり、…

生首に聞いてみろ

法月綸太郎「生首に聞いてみろ」を読了。再読。 本格ミステリ大賞も受賞した作品で、練度の高いミステリ。 後半の展開はかなりエグい。

グッド・コマーシャル

西野亮廣「グッド・コマーシャル」を読了。 人質立てこもりを扱ったドタバタコメディ。 西野さんという人は芸人なので、正直斜に構えて読んだが、面白い。 この人は芸人だけでなく、絵本作家としても活躍していて、多才な人だと感心する。

陰獣

江戸川乱歩「陰獣」を読了。 これは傑作。 表題作は本格ミステリとして非常に堅実な仕上がり。 「蟲」は乱歩の異常心理の描写のうまさが光っている。 昔の作品は、今読むとつまらないものと今読んでも面白いものとに二分されるが、 乱歩とか横溝は見事に後者…

伊豆の踊子「

川端康成「伊豆の踊子」を読了。 表題作はみずみずしい作品。 「温泉宿」はもろに風俗の話で度肝を抜かれる。 表題作と対照的な作品。

向日葵の咲かない夏

道尾秀介の向日葵の咲かない夏を読了。 とても暗い小説なのに、かなり売れたことにびっくり。 超常現象を取り扱っていて、SFミステリというような感じ。

さらば長き眠り

原りょう「さらば長き眠り」を読了。再読。 沢崎シリーズは安定の面白さ。 完璧なまでの本格ミステリ。 沢崎が千里眼のような推理力を持っているのが印象的。

密室殺人ゲーム王手飛車取り

歌野晶午の密室殺人ゲーム王手飛車取りを読了。 かなり先鋭的な内容で面白かった。 登場人物のモラルが完全に壊れているのも現代的。

雪国

川端康成「雪国」を読了。 大江健三郎と並び、ノーベル文学賞を受賞している日本人である川端康成の代表作。 難解な文章の大江とは異なり、読みやすい文章でグイグイページが進む。 サラサラとした清涼飲料水のような読後感。

乱れからくり

泡坂妻夫「乱れからくり」を読了。 奇術師でもあった泡坂らしいトリック満載の本格ミステリ。 複数の殺人事件が起こるのだが、その真相の中に、 一つ絵的にとても興味深いトリックがあった。 頭の中にイメージした時に、とても印象深いのだ。 島田荘司の傑作…

リバーサイド・チルドレン

梓崎優「リバーサイド・チルドレン」を読了。 第一作「叫びと祈り」の流麗な文体とは異なり、至って普通の文章なのに驚いた。 内容はホワイダニットを重視しており、舞台のカンボジアの特殊性を最大限に活かしている。 佳作だが、「叫びと祈り」の華麗な文章…

私が殺した少女

原りょう「私が殺した少女」を読了。 再読だが、やはり本格ミステリの要素を強く持つ傑作。 評論家の大森氏も指摘しているが、探偵の沢崎がやたら直観がするどい。 よくこの真相を見抜けたなという感じ。

双蛇密室

早坂吝「双蛇密室」を読了。 究極のバカミスというか、こんな話を思いつくのは間違いなくこの人だけ。 個人的にはアリだが、評価は人によってわかれるはず。 早坂の最高傑作は2作目の「虹の歯ブラシ」だと思っている。

豊饒の海

三島由紀夫「豊饒の海」全4巻を読了。 三島作品はとにかく文章を読んでいるだけで、心地いい。 プロットはそれほど常人離れしているわけではないが、とにかく文章力。 全4冊の中では1冊目の「春の雪」が一番面白かった。

国盗り物語

司馬遼太郎「国盗り物語」を読了。 斎藤道三の成り上がり物語という感じ。 歴史小説を読むのは久しぶりだが、面白かった。 この小説は結構濡れ場もあります。

そして夜は甦る

原尞のそして夜は甦るを読了。 再読だが、おもしろさは相変わらず。 ぼくのみたてでは、原尞は本格ミステリ作家でもある。 どんでん返しの要素が極めて強いのだ。